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【Mamyukka】15thCD「Doctor Nacht」—Deadman's Beak

Deadman's Beak

死者之喙



本物语收录于同人音乐社团Mamyukka  15thCD「Doctor Nacht」


听译:Rin



不意に、嗅ぎ慣れた匂いが鼻を衝く。

忽然,一股熟悉的气味扑鼻而来。


死臭だ、と即座に男は気が付いた。

男人立刻就明白了,这是尸臭味。


ああ、ついに俺も死ぬのか、と男は笑った。

啊啊,终于,死亡要降临到我的头上了吗,男人笑道。


死にたくないと縋る気持ちよりも、憎悪の方がよほど強くその衰弱した体の中で渦巻いていた。

比起想要苟且偷生的想法,憎恶的情绪更为强烈,在那衰弱的身体中盘踞着。


誰に向けた恨みか?それは勿論普く全能の神への。そして無力すぎた、他ならぬ己への。

对谁的憎恨?那当然是对那无所不知的全能的神明的憎恨。以及对渺小无力的自己的憎恨。


臭い。先程まで感じていた酷い喉の渇きも、体の痛みも、もう何も感じない。ただただ臭い。

好臭。知道刚才还能感觉到的喉咙的干渴,身体的疼痛,已经消失的无影无踪。只是觉得好臭。


狂いそうなほどに不快な匂いが充満していて、男は今にも尽き果てそうな力を使って懸命に首を振った。

空气中满溢着让人觉得难受的气味,快要让人丧失理智。男人用着最后的力气拼命地摇着头。


この黒く重いマントと息苦しいだけのマスクで必死に遮断してきた匂いだった。

气味透过这件沉重的黑色斗篷和让人觉得窒息的面具的阻挡,串入鼻中。


世界の匂い、人穢れに満ちた、この世界の匂い。

世界的气味,装满污浊人类的,这个世界的气味。


それが今は吸い込む空気にも吐き出す息にも深く深く溶け込んで、男自身の匂いと同化していた。

如今更是与吸入的空气以及呼出的气息相混合,同化成了男人自身的气味。


せめて最後にあの花の香を嗅ごうと思いつく。

男人想着,至少在最后一刻要再闻一闻那朵花的香味。


マスクの鼻先に仕込んだ花びらだけではとても足りないのだ。

光是闻着装在面具鼻尖里的几朵花瓣根本不够。


せめて最後にもう一度、あの美しい少女にもらったこの世でもっとも香しい香りを。

至少在这最后一刻,可以再闻一闻那位美丽少女送给我的,这世上最为馨香的花朵。


男は蹲った体のすぐ横に置かれた鞄に手を伸ばす。

蹲坐在地上的男人,将手伸向身旁的皮包。


いや、伸ばしたつもりだった。

不对,应该说是准备伸向。


だがマントの中で腐り落ちた腕は動く筈もなく、肩の付け根だけがごく僅かに震えただけだった。

但是斗篷中腐坏脱落的手腕根本没法活动,只有肩膀在微微地颤抖着。


そしてそのことに気づくこともないまま、男の意識はその憎悪と共に深い闇の底へと落ちていった。

男人并没有注意到这一点,意识便随着憎恶一同落入了无尽的黑暗之中。





道端に死体が転がっていた。

道路两边躺着无数的尸体。


幼い子供も老人も、女も男も、猫も犬も。疫病はそうそう選り好みなどしない。

无论是年幼的小孩还是老人,女人还是男人,猫还是狗。瘟疫可不会挑三拣四。


その中に黒いマントで全身を覆い、白い鳥の様な形なマスクで顔を覆った死体があった。

在那之中,有一具身披黑色斗篷,戴着白鸟形状面具的尸体。


道行く者は溜め息をつく、疫病医でさえあのざまだ。いつ自分が仲間入りするかわからない。

行人叹了一口气,就连瘟疫医生也是这般下场啊。或许有一天自己也会成为他们的一员。


見てはいけない、近づいてはいけない、顔を背けて足早に通り過ぎる。

不要去看他,也不要靠近,侧过脸快步走过。


だからこそ、誰も気が付かなかった。

正因如此,谁都没有注意到。


疫病医の死体が不意にすくっと立ち上がった。

医生的尸体突然站了起来。


いや、厳密には死体は立ち上がっていない。

不对,严格来说尸体并没有站起来。


皮膚が爛れ腕が剥けた男の死体は、今もまだ地面に転がっている。

皮肤腐烂手腕脱落的男人的尸体,仍旧躺在地面上。


黒い帽子と黒いマントと白い仮面だけが宙に浮かんでいた。

但是他那黑色帽子、黑色斗篷以及白色面具却浮在空中。


まるでそこに誰かがいるように見えるが、マントの下から覗いているはずの手足はない。

看上去像是有人站在那里一般,但是本该从斗篷之下窥见到的手和脚却并不存在。


仮面は暫し転がった死体を眺めていた。

面具望着躺在地上的尸体。


その腫れあがった顔と、蝕まれた体と、干上がった涙の跡と、伸ばすことさえできなかった腕と。

肿胀的脸、被侵蚀的身体、被风干的眼泪的痕迹、以及无法伸出的手腕。


ただただ静かに見下ろす仮面の足元に、といっても足はないのだが、ネズミたちが集まってくる。チチチと鳴いて、白い仮面を見上げる。

静静俯视着尸体的面具的脚下聚集了很多的老鼠,虽然说面具并没有脚。鼠群吱吱吱地叫着,望着白色的面具。


暫くして、仮面はふらりと動き出した。まるで人間が歩いているかのような動作でふよふよと飛ぶ。

过了一会儿,面具开始摇摇晃晃地动了起来。那动作就像是人类在行走一般,轻飘飘地飞走了。


ネズミたちを引き連れ、屍となった主を置き去りにして、通りの角を曲がって、夜の闇へと消えてしまった。

带领着鼠群,将已经化为尸骸的主人留在原地,在路口拐向另一侧,消失在夜晚的黑暗之中。




注:

瘟疫医生是欧洲中世纪的一种医疗职业。他们往往从未受到过专业的医疗训练,在成为瘟疫医生前多是业余人士。瘟疫医生大多拥有较高的社会地位。

很多人认为代表瘟疫医生的鸟嘴面具是一开始就有的,或者是在黑死病时期发明的,然而并不是这样。通常医学史上认为第一件鸟嘴面具和配套的制服是由1619年Charles de L’Orme在法国第一次穿戴,随后以极快的速度风靡了整个欧洲,成为瘟疫医生的标准配置,它与一个罩遍全身的防护服连为一体,只留两只眼睛透过玻璃观察事物。

与此相类似的,作为瘟疫医生代表的服饰还有:鸟嘴面具、木棍、连体防护服、香料盒、大蒜和玻璃镜片。

(摘自萌娘百科)


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